ガンダム ~名もなき兵士のレクイエム~ 因縁
地上の激戦を他所に、ニューマンの内部は静かだった。だが、その静寂は突如破られる。
ニューマン内部に単独で侵入した教導団のジムコマンド2機は、地下水路内部で待ち伏せしていたジオンのMSに見つかり、進退を余儀なくされていた。
「ち!まさか、ここに潜んでいたとは。奴らもバカじゃない。ここで応戦しても持久負けするだけだな。逃げ道はないのか?」
辛うじて、退路を確保できたが、敵の追撃も激しい。
ジムコマンドの身軽さは限定されない空間でその真価を発揮する。しかし、限定された閉鎖空間では逆に装甲の薄さが命取りになる。
「何とか水路入り口まで脱出しよう!キリシマ隊長の援軍を待つしかない」
防弾性能も心許ないシールド1枚でどこまで耐えられるか判らなかった。
そして、追撃するジオンの水陸両用MSもジムコマンドを追いかけて行く。
「奴らを絶対、逃がすな!何としても撃ち落せ!!」
ズゴックEを筆頭に、独特のシルエットを成すMSが襲い掛かる。
ニューマン内部に一度は潜入出来たが、この応戦により振り出しに戻るのだった。
一方、ケンプファーとの戦闘で小隊が壊滅したファルク小隊はカッパ軍曹の救助に成功していたが、出血が酷く、すぐに手術をしないと危険な状態にあった。
そして、爆発炎上したガンキャノンからコアファイターが自力で脱出に成功していた。
「ご無事で何よりです。ファルク中尉。一時はどうなるかと思いましたよ」
FCSの壊れた寒冷ジムから無線で呼びかける。
「RXシリーズはコアブロックシステムを採用してるからな。直撃さえしなければ、生存率はほかのMSよりも遥かに高いぞ。だから、俺は敢えて「自爆」を選んだのさ」
ガンキャノンのキャノンを真上に砲撃すれば、自由落下で元に戻ってくる 。その際、被弾するのはガンキャノンの上部のみで、コアブロックシステムは被弾しない。そして何よりも「ケンプファー」という遮蔽物があったことが生存に繋がったのだ。
「ところでキョウスケ。あの赤いMSはどこ行った?」
すっかり忘れていたが、頭部と右腕を破壊されても稼動できる性能に驚いていたのだ。
「あのMS・・・。今までのジオンのMSと全く違いますね・・・。何というか、敵陣に飛び込む為のMSだって感じました」
「言っただろ、あれは「強襲する為のMS」だと」
「あのMSに今度あったら、どうするんですか?」
キョウスケ軍曹は手の出しようがない相手について、真剣に聞く。
「今、そんなことを考えても仕方ない。カッパ軍曹も含めて、パースにすぐに戻ろう。対策を考えるのはそれからだ」
ファルク小隊は大破したガンキャノンを捨てて、作戦戦闘区域外に待機しているミデアまで戻っていった。
そのころ、対MAチームとしてニューマンに降り立ったキリシマ小隊は、MAグスタフと対峙していた。
「噂どおりにでかいな・・・。初めてレールガンの威力を目の当たりにしたが、マジでシャレになってねぇ・・・。あんなもん、食らいたくもねぇな」
教導団の隊長を務めてきたキリシマ大尉だったが、MAと交戦するのは実はこれが初めてである。そして、スフレ中尉も同様に初めての経験だった。
「な、何あれ?あんなのありな訳?」
無粋な風格を漂わせる機体から放たれるレールガンはまさに「破壊光線」そのものだった。さすがのスフレ中尉も呆気に取られる。
4脚足だから移動速度が遅いと思うのは間違いである。移動こそ遅いが、それを補って旋回能力は非常に高く、尚且つバーニアを利用した「ジャンプ移動」はそこらのMSよりも速い。
「こんなMAを立て続けに破壊してるアムロ・レイって奴は、マジで人間じゃねぇよ・・・」
そう呟きながらグスタフの射線から逃げ回る一行だった。
しかし、ただ闇雲に逃げ回っているだけはなかった。
そろそろ相手の行動パターンや限界性能が判ってきたので、陣形を組み直してMAを撃破すべく、攻撃を開始する。
「スフレたちは敵MAから離れて、狙撃準備。俺が引き付けている間に奴の足を狙え。足さえ破壊すればレールガンの砲撃を支える事が出来ないはずだ。チャンスは数回しかないぞ。確実に狙え!」
キリシマ大尉はジグザグに動きながら、相手の注意を引き付ける。
「この試作ビームキャノンが、MAの装甲をぶち抜ければの話だけどね」
そう言いながら、スフレたちは狙撃準備に入る。
一方、MAグスタフの追撃を振り切ったイズミ小隊は、挟撃してきたドムの攻撃で個々に分断されてしまっていた。
「分断されてしまったが、まだ全機無事のようだな。何とかせねば・・・」
焦る気持ちで一杯のイズミは、ドムの弱点をすっかり忘れていた。ドムの弱点はホバー移動できない足場での戦闘だという事に。
そして、ドムのレーダーは陸戦型ガンダムよりも明らかに劣る事である。認知してなければ、狙撃は非常に有効な攻撃手段である。
残念なことに全機100mmマシンガンを携帯してる為、狙撃は不可能であるが。
「パースのHQに保管されていたBD-01なら、確か予備があったはず。問い合わせてみるか・・・。」
数分後、HQから思いがけない言葉が発せられる。ビームライフル1丁をホバートラックに積んで、そっちに向かったとの事だった。
このビームライフルの存在が、後にドムを慌てさせる要因になるのだった。
一方、ニューマンから北に150kmの地点にジオンの援軍が2機迫っていた。
両機ともジオンの最新鋭MSだった。
「ギルゴア中佐、そろそろニューマンです。戦闘準備を」
「判っている。たった2機の援軍だが、ゲルググの性能を連邦に思い知らせてやる」
ゲルググJと改造されたゲルググJ。
だが、改造されたゲルググJは連邦はおろか、味方のジオンさえも驚く技術が盛り込まれていた。当時のMSの概念を尽く破壊したと言ってもいいほどの技術だったからだ。
「ここにあの女、スフレ・ノームがいるのか・・・。ニューヤークでの借りは返させて貰う」
真っ赤に塗り上げられたゲルググJを駆りながら、執念を燃やす男がスフレ中尉に迫る。
そして、ニューマンのジオンに内偵していたレッタ三等准尉がジオンにばれて、追われる身になるのだが、彼から教えられた事は衝撃の事実だった。
撤退するのか、ジオンをこのまま撃滅するのか?二者選択の時が連邦に突きつけられるのだった。
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