ガンダム ~名もなき兵士のレクイエム~ 戦端
威力偵察を敢行したイズミ小隊は、先の戦闘で敵MAと遭遇し、退却を余儀なくされていた。
そして、この時点でサザンクロスから合流していた陸戦型ジム小隊のうち、2機がMAのレールガンの餌食になっていた。
「くそ!ジオンの奴らあんな物を隠していたのか。これじゃ、内部に突入するどころか嬲り殺しになっちまう!」
グスタフの射線上に飛び出ないように退却をするイズミ小隊。だが、突如レーダーに反応が出る。
「前方から敵MSが急速接近!数は3。ドムタイプです!!」
随行していたホバートラックから無線が入る。

「くそ!今度はドムかよ!全くついてねぇ!!」
イズミは覚悟を決めて、各機に伝える。
「いいか!後戻りは出来ない。ドムの包囲網を突破して、体勢を立て直すぞ!各機の奮闘を期待する!!以上」
その無線を合図に180mmキャノンをドムに向けて撃ち放つ。

何発か撃ったが、ドムは全弾を回避してしまう。そして、近接戦を挑むべく、小隊は散開を開始する。
180mmキャノンの砲撃をかわしたドム小隊。そして、ホバーによる高速移動を武器とした、ヒットアンドウェイでイズミ小隊に襲い掛かる。
「敵の数は多いが、陸戦型ジムは戦力として数えるな。ガンダムタイプだけを攻撃すれば良い。各機、デルタフォーメーションで散開しろ」
「了解!」
高機動を誇るドムと、高いAMBAC能力と射撃能力を有した陸戦型ガンダムの戦いが火蓋を切って落とされる。その後ろに構える、MAグスタフを背負いながら・・・。
一方、イズミ小隊から少し離れた地点で、ジオンの部隊を掃討すべくニューマンに近づいていたベッピン小隊はザクの小隊と接触してしまう。
「前方11時の方向にザクを確認。数は3機。のち1機はスナイパータイプ」
この小隊の中でレーダーレンジが広いのは量産型ガンキャノンである。アレン曹長が搭乗するこの機体は、のちにコロニー防衛隊に広く配備されるようになるのだが、それは まだ先のことである。
「よし。遂に掃討作戦開始だ。ケンは俺がおびき出したザクを片っ端から迎撃してくれ。アレン曹長は砲撃で狙撃のチャンスを潰してくれ」
「了解!任せたよ!」
「隊長、無理はしないで下さいよ」
それぞれが役割を分担してこそ小隊攻撃は成り立つのだ。
一方、遭遇したジオン側のザクは明らかに動揺していた。

「な!いつの間にここまで!?これ以上は進ませるな!迎撃するぞ!!」
連邦がすぐそこまで迫っているという無線がすぐにニューマン内部に伝えられる。
そして、試作MSに乗り込んだラーカム大尉こと「ジャッカル」が遂に再び、ベッピンたちの前に立ちはだかろうとしていた。
「同じグフなのに、出力の差が凄い・・・。この機体、量産出来ないのは惜しいな」
ラーカム大尉が搭乗しているMSは「グフフライトタイプ」と呼ばれる、グフの派生型である。
「どうです?大尉。気に入って貰えましたか?」
技術仕官が無線でグフフライトの感想を求めてくる。
「文句のつけようがないな。残り2機もすぐに動かせるように調整してくれ。これで奴ら連邦を蹴散らしてくれるわ!」
グフフライトは両足の熱核ジェットエンジンを使い、空に舞い上がっていった。
ここで少し、補足をしたいと思う。このグフフライトは飛行した記録が残されていない。というのも、飛ぶには余りにも出力が不足していたらしい。飛ぶというよりも「浮き上がる」程度だったそうだ。よって、ここで「空に舞い上がる」と言う表記はおかしい事になるが、量産化されておらず、尚且つ局地的に試験飛行しただけなので、データー収集はおろそかになっていたのではないかと推測する。
飛び上がっていったグフフライトを尻目に、周辺の索敵を強化すべく、ジオン側は監視を密にしたのだった。
第3小隊を率いるファルク中尉は、篭城するジオンに陽動を仕掛けていた。
「奴ら、出て来ませんね・・・。もしかして、俺達に興味はないとか?」
陽動を仕掛けたのは良いが、反応がないのだ。そこで口を開いたのがキョウスケ・ナンブ軍曹だった。
「中尉、もしかして俺達、外れクジですか?」
「そうぼやくな。既にイズミ小隊とベッピン小隊が戦闘を開始している。直に俺達に役割が回って来る。気を引き締めろよ」
ぼやきながらもニューマンに近づき過ぎず、離れ過ぎずの距離を保っていた。
そして、遂に敵と接触するのだが、相手が悪過ぎた。それを痛感するのは直ぐだった。
「前方2000の距離にMS!IFFシグナルは・・・。レッド!敵です!!」
ファルク中尉達の目の前に現れたのは、連邦でもまだ見たことのない機体だった。そして、これがジオンの誇る強襲機動MSなのだ。
「な!なんだ?識別リストにないぞ?敵の新型MS?しかも、速い!」
「来るぞ!各機、迎撃用意!!」

「ふっ・・・。このケンプファーに戦いを挑むだと?笑わせる。性能の差を見せてやる!」
この機体に乗り込むのは「ケルベロス」と呼ばれた男。
このケンプファーとパイロットの実力に、ファルク小隊は翻弄される事になる。
そして、連邦もようやくシャトルの存在に気付くのだが、それが罠だと知るのは後のことだった・・・。
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